生きざまを柔らかく届ける

撮影復帰しました。今週はいきなり3本。たまたま重なっただけとはいえ、うれしくて、ああ戻ってきたなあという感じ。

復帰1本目の撮影をしている時「ああ、私は人の生きざまを柔らかく届けたいんだなあ」としっくり来た。前から”生きざま”という単語はずっと頭にあって。でもちょっと強い言葉だし、言い換えられないかなあと考えていた。

だけど、やっぱり”生きざま”。その人が生きる姿、何を大事にしていて、これから何をしていきたいのか、人生のターニングポイントや挫折、何を学んだのか、嘘のない言葉を姿を知りたい、残したい、届けたい。

たとえばお菓子屋さんで取材をしていても目の前のケーキより店主の開業ヒストリーが気になる。ファッション撮影をしていても服よりモデルの女の子の佇まいが圧倒的に気になる(だから私はファッション撮影の仕事が少ない。笑)

そして人の”生きざま”をそのまま届けるとちょっと強い、ちょっと重い。だから私の写真の作風のじわ〜っとした湿度感や光、やさしい文章で和らげる。すると受け手の心にすっと届く。それを、やりたい。嘘のない、本当から生まれる表現を。


前田敦子の”月月”
雑誌『あわい』出版