離乳食がたのしい

離乳食が始まる前、本やネットを色々見ながら、その面倒さに怯えていた。裏ごし、スプーン1さじ、卵アレルギー…。そもそも料理好きじゃないことも相まって、この面倒な世界に足を一歩踏み出したら、大変な日々が待っていると思っていた。

ところが、ところが、離乳食がたのしい。それは子がほんとーーーーーになんでもーーーー食べるーーーーーことが大きいけれど、自分がつくったものが子の心身を育んでいく、というシンプルなことが何よりうれしい。

子にとっては全てが新しい体験だ。お粥を飲み込むことも、にんじんの甘さも、トマトの酸っぱさも、豆腐の食感も。その一つ一つの反応を目の当たりにして「人間ってこうだよなあ」っていつも感心させられる。食はただ喉に流し込むものでも、ストレスを解消するものでもない。

生きる源になるもの。

子の人生は始まったばかりで、いつまでご飯を作ってあげられるだろうか。料理苦手歴34年を経て、そんな風に考えている自分がいることに本当に驚かされる。ベタで笑っちゃうけれど、子が生まれていい方向に変わっている。


前田敦子の”月月”
雑誌『あわい』創刊