一人から、チームへ/写真と文はクリエイティブスタジオに(1)

突然だけど、この仕事をはじめた最初のきっかけはコミュニティメディア「NEXTWEEKEND」だった。

7〜8年前、私がインスタで朝時間の過ごし方を投稿していた頃、たまたまNEXTWEEKENDがコラボする美容雑貨のアンバサダーに選んでもらえて「こんな私にもできるんだ」と小さな自信をいただいた。

その頃から代表・村上萌さんの生き方に影響を受けていて、ありがたいことに一緒にお仕事をするようになった今でも変わらない。


昨年「写真と文」と肩書を変えて、新たなスタートを切った。長く大切にしたいプロジェクト、時々飛び込んでくるチャレンジングな案件、一つひとつに丁寧に向き合って、お仕事をしている。

でも、ひとりで頑張り続けるのは、一区切りかなと思っている。

写真を撮ること、文を書くこと。その2つでさえ、実はできないことがいっぱいある。たとえばキッチリしたブツ撮りが苦手、専門知識が必要とされる原稿は苦手。苦手が多いゆえ得意を際立たせてきたけれど、苦手だから避けてきたことも多い。

でも、その”苦手”を誰かの力を借りてできるとしたら。もっと柔軟にクライアントさんの希望にこたえていける。


じゃあどんな形で?思い出したのが「NEXTWEEKEND」だった。社員数を増やし、拡大することを目的にせず、その時の状況に合わせて、大切な仲間を増やしていく。

その人ができること、得意なことに合わせて、仕事を作っていく(と、何かのインタビューに書いてあった)。それでいて、社長の村上さんと社員さんは役職的には上下だけれど、はたから見ているとチーム、仲間という感じ。

それぞれが、それぞれの持ち場で、個性を発揮して働いている。お仕事するたび、その関係性がいいなあって。


私がこれから作りたいのは、写真と文のクリエイティブスタジオ。デザイン事務所、みたいな感じをイメージしてる。

1人で完結できるものは、今まで通り1人で。1人より一緒にやった方が良いものは、パートナーと一緒に。アシスタントという縦の関係ではなく、フラットに。信頼できる人と、得意を生かして、一緒にお仕事してもらう。

この構想に辿り着いた時、真っ先に思い浮かんだ人がいる。相談してみたら快諾してもらえた。やったー!彼に力を貸してもらえると、できることの幅がぐんと広がる。詳しくは来週書きます。読んでね。

40歳までの5年間。今までがむしゃらに育ててきた木々を組み合わせ、家を作っていく時期なのかなと思う。少しずつ少しずつ、私らしく、手の届く範囲で。

向いてることの、見つけ方

今週、女の子の撮影が続いて、思ったこと。本当に向いていることは、自分も誰かも幸せにできるなあ。

「私は何が向いてる?」模索し続けた20代だった。フルマラソン、富士山登山、インド旅…。いわゆる”自分探し”と呼ばれることは一通り飛び込んで、その度に「面白いけどなんか違う」の繰り返しだった。

向いていることは、変な力みがいらない。
向いていることは、自分のままでいい。
それでいて、とても喜んでもらえる。

女の子を撮らせていただく度に、そうだよね、そうだよねと思う。

じゃあ、向いていることはどうやって見つけていくんだろう。どうやって見つけたっけ。

・頼まれなくても自然とやっていること
・暇な時についやっていること
・お金が発生しなくてもやりたいこと

そんなことが鍵になると思う。損得とか頭で考えてどうこうじゃなくて、自然と体が動いてしまうこと。

たとえば私は学生時代からアイドルが好きで、毎晩アイドル動画を漁っていた(今も。笑)。当時、写真を撮ったこともないのに「私が女の子を撮ったら絶対かわいく撮れる」という謎自信があった。

みなさんもきっと、そういうことがあると思う。たとえば私の夫は頼んでもないのにカレーのスパイスを調合して、週末にスパイスカレーを振る舞ってくれる。仕事につながっているわけじゃないけれど、家族を幸せにしてくれる。本人も楽しそうだ。

向いていることを見つける時の意外なポイントとしては…

・自分にとって当たり前のこと
(女の子動画を見るのが当たり前過ぎて仕事にするなんて考えもしなかった)
・「憧れ」とは別の所にあることも
(もともと雑誌編集者に憧れていたけれど、向いていたのは撮影と執筆だった)

外側からではなく、まずは、自分を見つめること。結果、見つけたものが「こんな些細なこと?」「なんか地味だなあ…」そう思ったとしても、磨けば、ぴかぴか光るよ。大丈夫。

【Work】マーナ×ペリカン×Kanoco対談撮影・執筆

3者に共通しているのは、日常へのまなざし。目まぐるしくても、慌ただしくても、パンをおいしく食べる。小さくとも確かなしあわせが、暮らしをいいほうへ向かわせてくれます。

ペリカンからマーナまで。 お散歩しながら聞くパンと日常のこと

生活雑貨メーカー・マーナさんと浅草の老舗パン屋ペリカンカフェさんがコラボレーションしたパン冷凍保存袋の発売を記念して、モデルKanocoさんとの対談を撮影、執筆しました。

ご依頼を伺った時「最高だ!」とテンションが上がりまして。なぜなら私もパン冷凍保存袋を愛用していて、ペリカンのパンも好きだから。

加えて近しいタイミングで出産したKanocoさんの著書や連載を読んでおり、またご一緒できたらな…と思っていたタイミングだったのです。

せっかくなら面白いことできないかな?と、ペリカンからマーナの徒歩15分をお散歩しながらお話を伺うことに。当日、リアルにペリカンのパンを買ったりして、楽しかったな。

日常を大事にする3者の日常論とパンへの想い。ゆるっとのんびり楽しげな空気感をお楽しみいただけたら幸いです。おすすめの食パンの食べ方もおもろい!

ペリカンからマーナまで。 お散歩しながら聞くパンと日常のこと

(ちなみに取材後ペリカンのパンを4斤買って毎朝食べています。添加物など余計なものが入っていなくて本当に安心。冷凍保存袋で保存◎)

3月31日、一冊のノート

3月31日。息子の保育園1年目が終わった。清々しい成長と共に、1冊のノートが手元に残った。所々よれっとなっていたり、カピカピのご飯粒がついてるノートが赤いリボンできゅっと結ばれて。

机に置いてあるのを見た瞬間、ぶわっとこみ上げてくるものがあった。それは毎晩、毎晩、書き続けた連絡帳。

睡眠や食事の生活記録、体調などを書いて持っていき、園でどんな遊びをしたか、どんな様子だったか、先生が書いて戻してくれる。

もともと交換日記が好きなこともあって、連絡帳が楽しくて。家に帰るまで待ちきれなくて信号待ちとかで読んじゃってたし、子育ての悩みを綴ったことも多々あった。

改めて読み返すと、私たちの1年間の子育てがそこにはあった。夏風邪で苦しんだこと、歩けるようになって喜んだこと、おかわりを6回もして驚いたこと。

子どもとの日々はあっという間に過ぎていく。物理的に忙しいのもそうだけど、いつだって今日・目の前にいる子どもが一番かわいくて、それ以前のことはどんどん記憶のすみに追いやられていく。

でも、リボンで結ばれた連絡帳を目にして、忘れてしまうけれど、たしかに0歳児クラスの日常はあったし、そのことを思い出せる手がかりができた、とホッとした。

いつか息子が文字を読めるようになったら、手渡そう。言葉なんかより、この存在が何よりの証だろう。そんな感傷にふけりながら、保育園生活2年目もせっせと連絡帳を書く。

弱さも迷いも、受け止めながら

ライターの一田憲子さんに取材してもらった。
vol.1「何者かになりたい!」という気持ちが人一倍強かった

昨夏、名前と肩書を変えて、ようやく自分とズレがなくなった一方、何ができるか伝わりづらいのと、想いが強いあまり伝えきれないもどかしさを感じていた。

誰かに取材してもらうことで「写真と文・七緒」を浮かび上がらせられれば…。そんなことを考えていた矢先、一田さんが取材し記事にしてくれるというお知らせを目にした。

瞬間、ご連絡した。一田さんは8年前に著書を読んでから、ずっと追いかけている方。暮らしのままならなさも届けてくれる姿に共感しっぱなしで、私が大事にしている影の部分もすくい上げてもらえるのでは、と。

半年間、一田さんに取材してもらった中で、気づいたことがある。それは弱さも個性になるということ。

写真を志してから、基本的に誰かに師事せず仕事してきた。だからか、なめられたくない、第一線で活躍している人に見られたい、肩の力をぎゅんぎゅんに入れながら過ごしてきた。力が入っているからこそ努力できた部分も、多分にある。

でも、本当は強くない。仕事が少ない時期は夫に弱音をこぼすし、大事な撮影前はおなかが痛くなったりする。そんなよわよわを今回ありのまま話してみたら、たくさんの方から共感や応援の声をいただいた。

記事は全3回。最後に書いてくださった言葉が花束のようだった。

これからも、七緒さんは出会った人と自分をリンクさせ、
時に揺れて、時に迷い、自分を変換し続けていくんだろうなあと思います。
そうやって「自分を変える」という力こそが、
七緒さんの才能なんだと思いました。

外の音、内の香

数年前に比べると、自己顕示欲や承認欲求はとんと薄まった。だからといって「もう達観してます。迷いません」ということではない。葛藤を抱えていることはあるし、これからも挫折したり、もがくだろう。

でもそのゆらぎも迷いも表現になっていく、と背中を押してもらった気持ちです。全3回の奮闘記、読んでもらえるとうれしいです。vol.1はこちらから。