産院にこんなに愛着を持てるなんて思わなかった。
産後1ヶ月検診が終わり「ああ、ここには来なくなるのか」と思うと一気に寂しくなった。妊娠が分かってすぐ産院探しは始まる。私は家から一番近い大学病院で、無痛分娩OKなことから聖路加国際病院を選んだ。
”産婦人科の御三家”なんて言われるくらい分娩において有名な病院。そう評価される理由は色々あると思うけど、私はとにかくホスピタリティに救われ続けていた。医師、看護師、受付の方、タクシーのスタッフまでいつも感じよく、困っていたら親身に相談に乗ってくれる。
印象的だった出来事が2つある。お産の最後、本当に苦しくて辛くてもう頑張れないと思った時。担当医師が「好きな曲ありますか?かけましょう」と自らのiPhoneを操作して流してくれた。子の名前はBUMP OF CHICKENの『Ray』にちなんでいるのでその曲を。
曲が流れた瞬間、涙が溢れて仕方なかった。
退院する時、主治医の先生がわざわざ病室まで来て「今はネットにたくさん情報がありますが、何か不安なことがあったらすぐ私たちにご連絡くださいね。解決する知識も方法もありますから」と心強い一言をかけてくれた。先の見えない育児がいきなり始まった私にとって、どれだけ支えになったかわからない。
思えば、フリーランスになってどこかに定期的に通うことがなくなり、一期一会な日々を過ごしていた。だから毎月毎月通った産院が想像以上に大事な場所になっていたみたい。聖路加で産めて本当に良かった。