妊娠・出産・産後、一番つらいのは?

妊娠中、よく目にした質問。「妊娠・出産・産後、一番つらいのはどれですか?」

その回答はさまざまで「つわりが重かったので妊娠」という人もいれば「陣痛の痛みに耐えきれなかった」「新生児期は毎日泣いていた」という人もいた。

私はつらかったのはぶっちぎりで妊娠、そして出産・産後という順かなあ。

noteの読者さんはそうかもね、と思ってくれるかもしれないけれど、妊娠は出口のない真っ暗なトンネルをとぼとぼ歩いている感覚だった。つわり、情緒不安定、毎週変わる体調、お腹の張り。自分の体が”自分のものじゃない感”がずっと息苦しかった。

出産はもちろん痛くて、でもよく言われる”鼻の穴からスイカ”は変な例えだなあという印象。もう痛すぎて記憶から抹消されているのだけど(これもあるあるですよね、出産の痛みを忘れるってやつ)一番近いのは生理痛かな…。あの10倍とか100倍とか…?ただ数時間〜数日限定だから、先が見えて頑張れた気がする。

そして産後。実は妊娠中一番恐れていたのは「産んだあと激烈につらかったらどうしよう」だった。とにかく産後の心身のイメージがわかなくて、全くの未知だったから不安につながっていたのだと思う。でも私は今が一番幸せ。

産後1〜2週間は涙が止まらない時もあった。育児について何もわからないまま、いきなり実践・実践・実践の日々。そりゃ心配で不安で涙も出るよね、と今なら思う。おなかの痛みや慢性的な疲労感から基本はベッドにいなきゃいけなくて、気持ちも鬱々としがちだった(とはいえSNS更新もできたし、カフェも行けていたけど)。

産後3週間を越えた頃から「あと少しで新生児検診だ!」という前向きな気持ちになり、今は「まあ色々あるけどどうにかなるし、どうにかするし、ていうか今日も子がべらぼうにかわいい。人生最高」っていう気持ち。そう、目の前に子がいることで割といろんなことが楽しくて頑張れる。

腰も腕も肩も首もガッチガチだし、試行錯誤の連続なんだけれど、子がいるだけで、子が声を出すだけで、子が笑うだけで、ぱあああああっと心が晴れる。

妊娠・出産・産後のつらさは人それぞれ。でも今のこの喜びを妊娠中に実感できる機会があれば、もう少し弱音を吐かずに頑張れたのにな、なんて。そんなことは到底無理なんだけれど。


前田敦子の”月月”
雑誌『あわい』出版