家族写真は真空パック

子が保育園に入園した。初日の今日は慣らし保育。基本的に人見知りや場所見知りせず、おだやかに遊び、ミルクを飲み干し、にこにこして私たちのお迎えを待っていてくれた。

子がいることで、今まで素通りしていた日が大切な記念日になる。はじめて寝返りした日、ちっさな歯が生えてきた日、おむつサイズアップした日。その一つ一つを目に心に焼き付けたいけど、忙しい中、感動はどうしても薄れていく。

3月上旬、沼山かおりさんに写真を撮ってもらった。

沼山さんの家族写真はいわゆるかしこまって、ではなくありのままの日常をそのまま残してくれるもの(プラン名も『育休とか日常とか』って名前で面白い)。

撮影写真はあの時の私たち家族の空気感がそのまま真空パックされたようだった。

私は息子のことが、世界一大好きで、毎日大好きって伝えるし、ここには書けない濃ゆ〜い愛情表現もしている(お母さんってそういうもんですよね)。でもそのことを彼は覚えているだろうか。私に0歳の頃の記憶がないのと同様、覚えていないだろう。私たち親も0歳のみずみずしい感動は忘れていくと思う。

でも1枚の写真があれば、記憶も感情も情景も全部蘇る。そのことが彼のじんわりとした喜びにつながればうれしいし、何より私たち親は10年後、20年後、この写真を見てほろり、するだろう。

毎日、毎日を記念に残したい所だけど、そうもいかないわちゃわちゃとした日々だから、せめて1年に1回はずっと家族写真撮ってもらいたいな。思春期でふてくされている顔も、また記念だし。


前田敦子の”月月”
雑誌『あわい』創刊