3月のはじめ「北欧、暮らしの道具店」のコーポレートサイト・クラシコムジャーナルにアップされた2つの記事。それは夢みたいなコラボレーションの対談記事でした。
いい一日を過ごすヒントがつまった雑誌『オズマガジン』と心地よい暮らしを多方面から提案してくれるネットショップ「北欧、暮らしの道具店」、その媒体の”顔”である古川編集長と、佐藤店長による対談。読み進めていくと「分かる分かる〜〜!」が多すぎて、思わず記事を書きたくなってしまいました。
先に対談記事を読んでから記事をご覧いただくと、より面白いかもしれません。
『オズマガジン』編集長×「北欧、暮らしの道具店」店長対談
【前編】社交が苦手なリーダー!?「らしい」メディア作りのために心掛けていることとは。
【後編】生きていくのは大変だから、誰も傷つかない発信をしたい。
傷つける、傷つけたくない
唐突ですが、普段わたしは仕事として文章を書くこともあれば、ブログやSNSなど好きに文章を紡ぐこともあります。そんな時、気をつけていることはできる限り、露悪的にならない、人を傷つけないようにすること、です。
古川さん:個人として生きていてもそうなのに、編集長なんて看板を背負って、何かを作り続けて、発信しているということは、絶対に誰かを傷つけている可能性があると思っています。
ですから、自分たちの媒体でできるだけ人を傷つけないようにということは、考えていますね。世の中の人はみんな、それぞれ違う人生を歩んでいるから、もしかして知らないところで『オズマガジン』が誰かを傷つけてしまうこともきっとあると思うんです。
自分が思っていることや誰かの思いを代弁するために、言葉を綴る。それってとても楽しくやりがいのあることですが、誰かを傷つける可能性、傷つけている可能性は十二分にあります。それでも、できるかぎり人を傷つけないようにしたい。文章を読み終えた次の瞬間からもその人の人生は続いていくわけだから、できるだけ前向きになれるように、一歩踏み出すエンジンになれるように、と思って書いています。
オズマガジンも北欧、暮らしの道具店。どちらも「疲れている時でも、読める」媒体です。どれだけ自分がどん底にいても、読める。それはきっと「傷つけないように」という心配りがある所以なのだと知りました。
自分を肯定する、ということ。
いつも自分の話ばかりで恐縮ですが、わたしは会社員時代もフリーランスとして仕事を始めた今もなお、誰かと比較しては凹み、それでも奮起する、を繰り返しています。だって、他人の歩みとか成功とか気になるもん…。
人は他者との関係性の中で生きている(と思う)ので、比較をやめることは難しいでしょう。それならば自分の中で折り合いをつけて、自分に自分が満足できる、OKを出せる仕事、生活をしていきたいと。なかなか難しいけれど、そう心がけています。
佐藤さん:それはつまり、「他の誰か」のではなく、「自分」のものさしで満足できる暮らしをつくりましょう、ということを言いたいんですね。
佐藤さん:巻頭の古川さんの一言も、毎回色々なことをおっしゃってると思うのですが、私にはいつもひとつのメッセージにしか聞こえなくて。それは、「この世の中で生きていくのは大変だし、綺麗事ではいかないけど、だからこそ、僕たちみたいな雑誌もできることがあるんだ」という。
オズマガジンの巻頭ページの古川さんの一言、好きな方きっと多いのではないでしょうか。この世は残念ながらHAPPYばかりではありません。もちろん受け取り方によってHAPPYの数が多い人、少ない人の個人差はあると思いますが、日々生活していて、悲しいこと、苦しいこと、他者から心ない言葉を投げかけられることは、あります。
でも、だからこそ、オズマガジンや北欧、暮らしの道具店のように、そっと読者やお客様を肯定してくれるメディアがあることに、救われます。「速い・新しい」が価値を持つ時代の中で「少し立ち止まってみましょう」「毎日キラキラしていなくても大丈夫ですよ」と言われることのありがたさったら。こころがふっと軽くなります。
小さな 小さな 心配り
佐藤さん:実は、手紙だけではなくて。うちの広報スタッフが、取材前に古川さんからいただいたメールの文章の中に込められた気遣いにとても感動していて。メールはどんなことを心がけているのですか。
古川さん:要件以外のことを書くことですかね。天気のことですとか、言葉を添えるといいますか。言葉って独り歩きするので。「了解です」とだけ書かれているメールに、あれ、この人怒ってるのかなと思うことありませんか。
佐藤さん:ありますあります。
古川:でもその人は、全くそんなことなかったと思うんですよね。でも、ただ「了解です」が人を傷つけることもあって。そういうことを考えると、自分のメールを読んだ時に、この人は忙しそうなのに、ちょっとゆるいなみたいなことを入れられるようにしたいなと思っていて。
もはや呼吸するように書いているメール。事務的なことを伝えれば事足りるかもしれませんが、やっぱりそれじゃ味気ない。時候のあいさつ、まで堅くならなくていいけれど「今日はよい天気ですね」「あたたかくなってきましたね」「お忙しいと思いますので、お体ご自愛くださいね」という言葉をプラスするように心がけています。
自己満足、と切り捨てられてしまうとそれまでですが…でも、メール相手のこころをほっとほぐせたら、うれしいな、なんて。余談ですが、以前古川さんとメールのやりとりをさせていただいた時も、本当にこころあたたまる(そしてこちらを緊張させないような)文面をいただいて、ああ、いいなぁ、こんな大人になりたいなと感じたことを思い出しました。
対談記事を通じて伝わってくるのは、おふたりの等身大、そのままの人となりです。肩の力を抜けなかった時期、飲み会にあまり行かないこと、などについても包み隠さず、お話されています。きっと、その飾らない姿が読者やお客様の共感を、集めるのだろうな、と思いました(わたしもそのひとりです)。
お家やカフェのソファでゆっくり読み進めてほしい「本」みたいな対談でした。やっぱりわたしはこの2つの媒体が大好き。規模も形も異なるけれど、同じ志を持って生活したい、仕事していきたいな。
『オズマガジン』編集長×「北欧、暮らしの道具店」店長対談
【前編】社交が苦手なリーダー!?「らしい」メディア作りのために心掛けていることとは。
【後編】生きていくのは大変だから、誰も傷つかない発信をしたい。