苦手を手放した、ペーパードライバー

自己認識からポンと飛び出してみると、知らなかった自分に出会えることが、まだまだある。

ずっと車の運転が苦手だと思いこんでいた。というか正直に告白すると、運転は誰かにしてもらうもの、私は助手席専門と思っていた。ひゃ〜。

社会人になって必要に駆られて、渋々免許を取得した。でも、免許取得と運転は、必ずしもイコールじゃない。へばりついた苦手意識はなかなか取れず、業務で運転が必要なくなった瞬間、ペーパードライバーになった。

数年前、電車で機材を運ぶしんどさを感じはじめた頃、妹の友人から譲ってもらえることになり、車を所有することになった。はじめは変わらず苦手だった。特に首都高の運転なんて、恐怖以外の何者でもなかった。

だけど乗りはじめて3年。最近ようやく慣れてきて、良き相棒だと思えるようになった。

運転はたのしい。晴れた海沿いの一本道を走るのも、ラジオをのんびり聴きながら渋滞にはまるのもたのしい。時折誰かと乗って、とりとめのない話をするのもたのしい。少しintimacyな空気になるのもすき。

運転中は目の前に集中せざるを得ない。もわもわまとりついていた思考はどんどん後ろに流れていく。頭の中がすっとクリアになっていく。

くすみブルーのかわいい車。先日ついに10万kmを超えた。苦手と思いこんでいても、挑戦してみたら、案外仲良くなれるんだ。35歳になっても、どんどんあたらしく。