一区切りを迎え、ままならないを愛すること-年始のご挨拶-

3年前の年末年始はずっと忘れないと思う。頭がぼんやりして、常時気持ち悪さと隣り合わせ。つい1ヶ月前まで、元気に外を歩いて、仕事したり、お酒を飲み交わしていたのに。

年の瀬に妊娠がわかり、2021年は妊娠・出産、2022年はじめての育児。楽しかったけれど、日々を生き抜くのにいっぱいいっぱいだった。

2023年。子どもと手をつないで散歩できるようになり、会話が少しずつ成り立つようになり、お世話フェーズから、人として共に暮らす感覚に近くなってきた。

育児に少し余裕が生まれたことで、仕事の土台も改めて作り直せた。それは妊娠前とは異なった形。心地よい人、心地よい仕事。消費せずに、互いに心を寄せて、力を合わせていいものづくりをする。朗らかで健やかな仕事の数々。

2023年が終わった時、ああ一区切りだと思えた。

2024年は、もう、あたらしいことにどんどん飛び出していける。力は抜けているのに、心は高揚感に満ちていて、さあ、どんな未来を作っていけるだろう。

今年のテーマはHome&Challenge。今まで種を蒔き、育ててきた木々を活かして家を作っていくことに挑戦していく。

それは仕事においては撮影や執筆の仕事だけでなく、企画から携わることで「世界観」を作ることだったり、チームとして働くことだったり。暮らしにおいては、家をつくっていくこと。どれもうまくいくか、いかないかわからないけれど、まず挑戦する。そんな余白がようやく出てきた。

だけど、一番、大事にしたいこと。それは過程やあわい、ままならなさを愛しむこと。

子どもが生まれて以降、目標に向けてまっすぐ進むことが本当に難しくなった。公園に行こうとしても、途中でどんぐりを拾ったり、葉っぱで遊びはじめたり。大切な撮影前日に熱を出して、慌てて実家にヘルプを頼んだり。独身や夫婦時代は当たり前にできていたことが、まあ、できない。成果や目標だけを求めると苦しくなる(だって叶えられないことが多いんだもの)。

でも、そこに至るまでの過程も案外、楽しかったりする。灯台のような目標は心に持っておきつつ、途中を否定しない。季節でうつろう光の美しさ、息子とのくだらない替え歌、気のおけない友人との朝ごはん。今と理想のあわいを楽しめたら、もう毎日毎分が楽しくなる。というか年末年始、そう心がけたら、とっても楽しかった。

2021年に『あわい』という小さな雑誌を出版し、そのときは、物事の間(あわい)を受け止められたらと祈りながら作っていた。2024年のわたしは、受け止めた上で、積極的にあわいを楽しみたい。

2024年も、光と影をあわせもつ生きざまを届けること。写真と文、対話や植物で自身とつながる手助けをすることで、「私はわたし」と安堵に満たされ、清々しく生きるお手伝いをできたらと願っています。たくさんの方に出会える1年でありますように。