日々の粒子10

6/6
ビワの実が収穫シーズン。100個くらいあるかなあ。冷やして食べよう、うれしいな。だって去年は2個だった。左隣のティーツリーも花を咲かせた。ふわふわの白。このティーツリーは私が初めて植えた樹木。思い入れもひとしお。朝から由比ヶ浜へ。足を水に浸すだけで、溶けてゆく。

「蛍を見にいきたい!」と息子。それじゃあと広町緑地へ。自転車置き場でロコなお姉さんと出会い、なぜか一緒に案内してもらうことに。森の奥へと進むと、たくさんの光たち。小学生の家族に優しくしてもらって、なんだかみんなで大きな家族のよう。息子はさっき出会ったばかりのお兄ちゃんたちと手を繋ぎ、蛍をつかまえては、空へ飛ばす。この町で私はいつも呼吸が深くなる。

キリギリスの音色、カエルの合唱、どじょうにおたまじゃくし。鎌倉に越してきたことを深く感謝した。

6/8
空気の香りが深緑。梅雨がもうすぐやってくる。庭のミニトマトが実って2人で食べた。かぶりついて、体の奥から漲る何か。それは自らの庭で作物が実るというプリミティブな喜び。夕方、空気が、白。

6/9
乾き切らない洗濯物を、庭の木々に干す。昔の洗濯はこうだったよね、と思う。朝、子どもの着替えを手伝っていたら、お隣さんの家にキツツキ。

6/10
昼から友人に会うため、庭のあじさいを水揚げする。花を贈ることも本当に日課になった。白、ピンク、紫のあじさい。6月が一番、庭が美しい。梅雨入り。雨に身を浸す。光と緑の家に来て、雨が嫌じゃなくなった。

「お母さん、本を作ってみようと思うの、どう思う?怖いけど、やってみたいと思ったの」「いいと思う。手伝ってもいいよ」「じゃあ何か手伝ってね!」「いいよ!」子どもが私の道を照らしてくれる。

6/11
帰り道、雲の陰から満月。「月明かり」を実感したのも鎌倉が初めて。

日々の粒子9

5/24
朝から庭仕事。ジューンベリーに実がひとつ実った。グミの実をもぎってジャムにしよう。そしてお隣さんから梅をおすそわけ!やったー!なんと5kg。いつもお世話になってるファミサポさんにおすそ分け。最近、庭の恵みをおすそ分けばかり。これは植物のあり方だと思う。そして5月は実の季節。昼ごはんを食べて庭でコーヒー。子供の秘密基地を作る。モンキチョウと追いかけっこ。

5/25
針のように降り注ぐ霧雨。雨が鬱陶しくなくなったのは、庭を始めてから。だって自然の恵みだもの。紫陽花の先が色に染まってゆく。少しずつ少しずつ。

5/26
梅をファミサポさんにおすそ分けし、お礼におくらの苗をいただいた。植物の物々交換が鎌倉では当たり前に行われていて、愉快で笑ってしまう。私たちは植物の生存戦略の手のひらの上。

5/27
残った梅は鎌倉・香菜軒のみのりさんへ。お礼にマーマレードのジャムをいただいた。もう一人のファミサポさんにも梅を渡したら、麹と玄米おにぎりをいただいた。

5/28
お昼どき、いつもの鳩がパートナーを連れてやってきた。紫陽花が右は白、真ん中は桜、左は紫。ジューンベリーの実をもいでは口へ放り込む。枇杷の実がもう、すぐ。そしてまたお隣さんから梅の追加便!「上の方は取り切れないし、鳥にあげようかな」と言ってて、まさに鎌倉。

6/2
今日も朝ごはんの前にお庭へ。息子は虫を捕まえ、私はハーブウォーター。紫陽花が満開。白で楚々。なんて美しいの。去年は1〜2輪だったけど、今年はたくさん。手をかけたら植物はちゃんと応えてくれる。ビワの実ができすぎて枝がしなっていたため、少し量を減らした。

6/4
鎌倉は小さな山だらけ。町と町を行き来するには、トンネルを通る必要があり、自転車で駆け抜けると、空気が深くて冷たい。それが昔住んでいた神戸の山間の町のにおいとそっくりで、大好き。

6/5
「おかあさんのベルトのかなぐのおと、コオロギみたいだね」と息子が言った。

日々の粒子8

5/17
神戸に住む祖母が鎌倉に遊びに来てくれた。86歳の今も「庭が生きがい」と話す祖母。庭の右側に生えてきたけど、正体が分からなかった植物はクリスマスローズでは?と。蒔いた記憶はないから、どこかから種が不時着したのかな。

5/18
息子と梅の収穫。私が枝ごと剪定して、息子がもぎって。前は梅を買うために何千円とお金を払っていたのに、庭で採れるなんてこれ以上の贅沢はないなあと思う。シナモンやクローブなども入れて粗糖に漬ける。今年はその全部を息子と共にできたこともうれしい。いつまで一緒にできるかなあ。空気が梅雨の香り。

5/19
家の裏山に自生する桑の実をぽいっ!甘酸っぱくておいしい。初夏は最高の季節。空気が深い緑。庭にガビチョウ。果実が実る時は、鳥が遊びに来る。去年、植えた青紫蘇の種がこぼれて、芽が勝手に出てきた。

5/20
青紫蘇の芽が庭の反対側にもわさわさ!植物の生存戦略に日々おののいている。今日も桑の実をぽいっ。鼻先をくすぐるスイカズラの甘い香りとともに。保育園の帰り道、見知らぬ親子のザリガニ釣りに混ぜてもらう。人と自然との境界線がゆるやかな鎌倉。

5/21
朝、麗しい鳴き声が聞こえたと思ったらガビチョウ。名前のインパクトが強い。鎌倉山の前でリス、雨戸の戸袋からイソヒヨドリがこんにちは。

5/23
日に日に枇杷の実が大きくなり、枝がしなるほど。サルスベリの穂先がピンク、紫陽花の蕾に色が見え隠れ。きゅうりの花が咲き、ミニトマトの実は赤づきはじめている。四季のうつろいを淡々と記録する。すべては移り変わり、朽ちて、また芽吹いていく。自然のリズムにふれ、心がゆるやかになっていく。

日々の粒子7

5/9
朝、ご近所さんの庭で、ヒヨドリがアオスジアゲハを捕まえていた。雨が降り出す前に土にぽたぽた落ちていた梅を収穫。25個。去年はカゴいっぱいにもならなかったけど、今年はだいぶ収穫できそう。これからの季節は待ったなし。なんだか湿度を帯びた空気、蚊が出てきた。

5/10
拾った梅で梅シロップ作り。息子がヘタを取るのが上手。蚊が出てきたからドクダミチンキで虫除けスプレーも作った。去年、ビワとドクダミどちらも使ってみてドクダミの方が効果的だった。スギナ・ごま・かつおぶし・塩と合わせてふりかけに。素朴でおいしい。庭に自然の恵みがあるありがたさよ。

5/11
清澄白河の保育園の先生が昨日から泊まりにきてくれた。朝、みんなで庭でコーヒーを飲んで、梅を収穫。由比ヶ浜で今年初の海遊び。ざぶざぶ海に入っていく息子の背中を見て、1年の成長を感じる。泥だらけ、海水まみれ、ばんざいだね。どこかで消費も楽しいけど、自然にふれることが落ち着く。心境が変わっていってるなあ。「蚊が多いね」と言ったら「自然ってそういうものだよね」と息子が一言。

5/13
腰越で海見てお茶して、鎌倉山を越えて帰宅して仕事して、畑の中を通って山を登って保育園のお迎え。海と山がいつだってそばにある。

5/14
朝から水やり、そしてギター練習。憧れていた日々が目の前にある。保育園帰りに梅の収穫。息子が枝を運んだり、身をもぎったりといろいろと手伝ってくれる。黄色、緑、桃色、自然のいろは美しいな。

5/15
この2日間、からだが重くて起きられない。そして足がむくむ。湿度が上がっているのをからだ全体で感じ取っている。トマトがぐんぐん伸びるため、支柱立て。もう緑の小さな実が成っている。畑仕事は分からないことだらけ、でも一つひとつ過程を重ねて力が身に着くのが楽しい。何より失敗というものもないしね。

日々の粒子6

5/3
庭の橙の花がだいぶ咲いてきて、どこから嗅ぎつけるのかメジロたちが戻ってきた。おかえりなさい〜!シロツメクサの種を蒔く。お隣さんから「梅が採れたらお裾分けしますね」と。なんてやさしい世界。ビオラにアゲハチョウが止まり、蜜を吸っていた。バスに揺られて鎌倉山へ。七里ヶ浜を一望できる秘密の場所が大好き。

5/5
近くの公園を息子と散策。公園で桑の実を見つけたけれど、まだ青々として硬いね。あと1ヶ月くらいかなあ。桑の実をもぎる喜びを去年知ってしまったから。アオダイショウを見つけて、のんびり見守る。家の近くでエルダーフラワー。干したスギナをお茶とふりかけに。雑草と嫌がられるものは、大抵薬草でもある。すべては繋がっている。

5/7
南向きで、日当たりの良い庭なのだけど、朝、影になることが多くなってきた。それはお隣さんの梅の木が茂りはじめたから。光の色や落ちる影でも季節を感じる。友人からもらったミニトマトの種が芽吹いた。山を眺めていると、緑にもグラデーションがあることがわかる。深緑、若草色、萌黄色。鎌倉駅から家まで歩く道すがらにジャスミンの香り。5月は甘い香りの花が多いのかな。

5/8
数日前に巻いたシロツメクサの種が発芽!ふかふかの土からぴょんぴょこのぞく小さな芽たちがうれしい。友人とネロリのお花を摘んだ後、鎌倉駅前の園芸店でクリーピングタイムを発見。もちろんすぐさま購入。庭をつくることと、原稿を執筆することは結構似ている。感覚をたよりに、一つの形にしていくこと。