料理苦手母の、離乳食奮闘記

先月、1歳半になり、息子の離乳食が完了した。とにかく食べる×食べる×食べる子で、アレルギーもなかったので、スムーズに進んだ方だと思う。

何度かブログでも書いているけれど、出産まで料理をほぼせず生きてきた。こんな風に書くと信念がありそうに感じるけれど、そんなわけもなく(笑)料理上手な母のもとに育ち、料理上手な夫と結婚し、料理ができない自分を見て見ぬ振りし、苦手な気持ちだけをこじらせていた。

さあ、息子のごはん。さすがに作りたい。一瞬、夫に任せようかと思った(料理に関してどこまでも他力本願)、いやいや、やっぱり作る!と決心。離乳食本を買って、不慣れな手先で作りはじめた。

最初は10倍がゆを炊いたり、にんじんを茹でたり、かんたんな工程から。最近はなすとひき肉の炒めものとか、味噌汁とか。離乳食が初期、中期、後期と進むごとに、私の料理経験も培われていった。

ごはんを平らげてくれるのは、なんかこう腹の底から湧き上がってくる喜びがあって、とにかく週末夜、コツコツ作りためた1年(離乳食は5ヶ月頃からスタートするので、完了まで1年)。

「今ではすっかりこんなものも作れるようになりました!」と結べないのがリアルな所で、毎週、毎週、頭を悩ませている。おやつは大体バナナか焼き芋だ。切って出すだけ!

でも、35年抱いていたあの根拠なき劣等感は少しずつ薄れている。好きでも嫌いでもないけれど、息子のために作るのは楽しい。食べてくれたらうれしい。

離乳食が完了したら幼児食。来月からは月1回のお弁当もはじまる。きっと彼が家を出るまで続くごはん作り。マジか…。だけど、私が母の味を今でもおいしいと感じるように、彼の中にも私の味が残るとしたら、それはとても幸せなことだと思う。

時を重ねる働き方

7年前、フリーランスになった理由は色々あるけれど、振り返ると、組織で働くことが向いていなかった。

いいものを作っている自負があっても、上司からダメ出しされた途端に自信をなくす。先輩に企画をごっそり真似された苦い記憶もある(そういうことっていつまでも忘れないですね笑)。あの人はすごいけど自分はだめ、そんな比較も良くしていた。

一人になって、上から何かを言われたり、下の勢いに焦ることがなくなり、心が健やかになった。数年前はアシスタント募集もしていたけどやめた。結局、自分が苦手だった縦の関係性を作りそうだと思ったから。

私の仕事は単発が多い。1日のこともあれば、数ヶ月にわたることもあるけど、撮影して執筆して、仕事が終わったらそこで終わり。その軽さが好き。

でも、最近その先へ踏み出したくなってきた。

人と働くのが苦手だと思っていたのに。今、一緒に仕事している方々がすごく好きで、次の約束ができないことが切ない。人と働くといろいろなことが起きるけれど、いろいろを乗り越えた先に見えてくる表現や仕事があるような気がしている。

ビジネス的な観点でも、ただ撮影するだけじゃなく、チームの一員としてブランディングの根っこから入らせてもらって、どういう見せ方をすればいいか考えた方が結果的に届く表現になると思う。

ゆくゆくは写真と文スタジオ、のような形にもできたら。そんなことを最近考えている。

ふたりの日常

残りわずかな二人だけの時間。
きれいで美しくて涙が出そうになるし
反面、自分にはもう戻ってこない切なさもある

誰だって、毎日、毎日が、そう。

久保陽香さん・金廣真悟さんを撮影させてもらいました。

Thanks to 久保陽香金廣真悟

(4年前、久保さんを初めて撮った写真はこちら

スターになれなくたって

芸人、放送作家、ラジオパーソナリティとして活躍する佐藤満春(サトミツ)さんが『スターにはなれませんでしたが』を出版されました。

芸能人なのに地に足がついていて、枠にとらわれないお仕事をしているサトミツさん。その姿に共感して、3年前『あわい』でご紹介させてもらったことを機に、今回、少しだけ構成のご提案などお手伝いさせていただきました。

最初、送ってもらった原稿データ名が「影が薄い」で。最高か、と(笑)

「有名でなくても、それはそれで存在していい」
「100人キャパで、100人に喜んでもらうことにも意味がある」
「1つのことで旗を立てられなくても、自分で山を作って一番を目指せばいい」

著書にはそんなサトミツさんならではの生きざまが綴られています。

サトミツさんって”諦め”と”自愛”のバランスが絶妙。諦めているのに諦めてないし、器用にできない自分を受け止めながら、それでも愛するしかないと言い切る。

私は『あわい』で言ってくれたこの言葉が大好き。

現在進行系で道を切り開き続けている人の言葉だから、刺さるし、勇気をもらえるんだろうな。

世の中を「スター」と「そうでない人」に分けるとしたら、後者が圧倒的に多いと思う。でも別に卑下する必要も残念がる必要もない。『スターにはなれませんでしたが』その言葉の続きは、ぜひ著書で。

(よければ『あわい』も合わせ読みしてください。7千字インタビュー!)

【Work】NATIVE STAY撮影&執筆

三井ガーデンホテルズとNEXTWEEKENDがコラボレーションしたホテルステイプロジェクト「NATIVE STAY」。都内6ホテルで展開されているすべてのビジュアル撮影(WEB・冊子)とインタビューを担当いたしました。

記事:時間軸をゆるめ、私の“自然”を取り戻す
記事:文化に囲まれて、好奇心をはじめの一歩に変える

ホテル=眠るだけ、なんてもったいない。せっかくならその土地・季節ならではの香りやドリンクを楽しみ、自分を見つめ直したり、やってみたい習慣にチャレンジするきっかけに、というコンセプトのNATIVE STAY。

私自身が大事にしている価値観にどんぴしゃだったし、つい忙しく流されてしまう日常に余白を作って前を向ける、素敵な企画だなあと感じています。

プロジェクトにかかわるすべてのビジュアルを撮り下ろすこと、インタビューで深い想いを届けること、大好きなNEXTWEEKENDのお仕事であること。とてもやりがいのあるお仕事でした。

プランは3月31日まで!→NATIVE STAY