【Work】靴ブランド「AREZZO」ブランディング

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神戸の老舗靴ブランド「AREZZO」様のブランディングを担当させていただきました。AREZZOは大手ブランドのOEM事業や、オリジナルブランド「la gomma」などを手がけ、最近では雑誌『LaLa Begin」などでも紹介されている、とても勢いのあるブランドです。

今春から半年間、社長さんの想いに寄り添い、いろいろな方の力を借りてじっくり形にしていきました。よく「なぜフォトグラファーがブランディングを手がけるの?」という質問をいただくことが多いので、今回のきっかけやブランディングの過程についてゆっくり書いてみようと思います。

1.お仕事のきっかけ

もともと清澄白河のシューズブランド「LOTTADESIGN.」様のリブランディング(ビジュアル・コンセプトメイキングなど)を担当したことが縁で声をかけてもらいました。このウェブサイトを見ている方は薄々お気づきかもしれませんが、私にブランディングの経験はほとんどありません。

ただ写真や文章で人・モノの魅力を届ける仕事という意味では普段のコンテンツ制作などと同じ。もともと編集者だったことからディレクションができること、おせっかい気質(相手の気持ちに寄り添ってお話を聞き出してしまう…)から向いていると感じていました。初回打ち合わせでもそんなことを正直に話した記憶があります。実績がほぼない中、ほぼ即決で任せてくださったAREZZOの社長さんには頭が上がりません。

2.ブランディングの過程

AREZZOにはすでにウェブサイトはありましたが、制作したのは随分前。「今に合わせてウェブサイトをリニューアルしたい」「ブランドの方向性を伝えられるキャッチコピー&コンセプトが欲しい」「ひと目見て伝わるビジュアルがほしい」というご相談を踏まえて、それぞれ制作していきました。

①キャッチコピー
キャッチコピーは「ここちよく、進も。」。AREZZOの靴に足を入れるとすぐわかる履き心地の良さ、どこまででも歩いていけそうな高揚感、日本語ですぐ伝わる言葉にしたく、こちらのキャッチコピーをご提案しました。ちなみに英語ver.も制作しており、それは「Fit Foot, Fun!」。なんだかワクワクする言葉の並びだし、足にフィットして楽しく歩んでいけそうな空気感が伝わります。関連会社が「三福」という企業で、3つの幸福を大事にしているという背景から、F(ortune)を3つ並べることで関連性を持たせました。

②コンセプト

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キャッチコピーが決まったら次はコンセプトです。何度も社長さんにヒアリングを重ね、紡ぎ出したコンセプト。AREZZOの特徴を2段落目までに集約させ、3段落目以降は心に響くようなワードを。社長さんがイタリア留学を経て靴づくりに携わっていることからイタリアのことわざを引用し、40年という歴史の重さ、そして次世代へ向かう姿勢を最終段落に込めました。いいコンセプト。

③ビジュアル撮影

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キャッチコピー、コンセプトという核が完成したので、次は写真というビジュアルに落とし込む工程に入ります。モデル、スタイリスト、ヘアメイクさんをアサインし、7月に都内で撮影。AREZZOが大事にしている心地よさ、楽しさ、凛とした空気感、表現できたと思います。撮影は私。ヘアメイクは小野紗友美さん、スタイリストは谷川夢佳さん、モデルは大久保友香子さん。

④ウェブサイト&DM

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言葉と写真が固まったらここから一気に形にしていきます。今回はウェブサイトをリニューアルし、展示会などで配布できるようにDMも制作しました。

ウェブサイトはサイトを訪れる人にとって分かりやすく&感覚的に楽しめるデザインに(特に靴づくりを紹介する部分はこだわっています)。写真の大きさ、文字のフォントや色(企業カラーに合わせました)などもゼロベースで作っていきました。「海外からのお問い合わせも多い」とのことから急きょ英訳も掲載。英訳はアーティストの野村佳代さんに依頼。

DMもお気に入りです。ひと目見てAREZZOらしさが伝わるよう写真を大きく使い、その真ん中にキャッチコピーをどーんと載せてもらいました。

3,ワンストップでブランディングを手掛けること

こういった過程を経て、今年9月にブランディングが一区切り。ブランドの魅力を掘り下げ、何度も何度も(お酒も酌み交わしながら)打ち合わせを重ね、作り上げてきたお仕事。こんなにどっぷり携わらせてもらったことは本当にありがたく、AREZZOの靴が大好きになりましたし、きっとこのご縁はこれからも続いていくように思います(それは仕事がどう、という話に限らず人と人として)。

そして、きっと今回携わったようなブランディングのお仕事はもっと求められていくように思います。たとえば大手企業だとブランディングは広告代理店に依頼することが多い。金額も数百万〜数千万単位で発生し、ミニマルな企業、スタートしたばかりのブランドにとって現実的ではありません。とは言え、このご時世、たとえいいものを作っていても、その魅力を伝える努力をしないと届かない(私自身、撮影サービスIt’s me!®を主宰していることからも痛感しています)。

中にいる人が企業やブランドの魅力を見つめ直し、写真や文章としてアウトプットしていくことって意外と難しいです。魅力が当たり前になって気づかないこともあるし、そこまで手が回らないことも。客観的な視点で魅力を引き出し、写真と文章で届けたほうが「人に伝わる」アウトプットになります。

そのアウトプットを色んな企業にバラバラに発注するのも悪くないけれど、私が窓口となり、ワンストップでキャッチコピー/コンセプトメイキング/撮影/ウェブサイトやDM、パンフレット制作などをお受けした方が、ブランドの世界観を統一して届けやすいと感じました(余談ですが、予算も抑えられます)。

私はこれからも目の前の人モノ現象にふわりと寄り添い、ありのままの魅力を引き出し、届けていきたい。さまざまなお仕事の中で、これからもずっとブランディングのお仕事は続けていきたいです。もしお役に立てることがあれば、気軽にお声がけいただけるとうれしいです(→CONTACT)。

本当にいいお仕事をさせていただきました!ぜひAREZZOさんのウェブサイト、のぞいてみてください◎

https://www.arezzo-kobe.jp/