インボイスで考える、在りたい未来

インボイスの登録が完了した。無事、適格請求書発行事業者になった。

「結局、インボイスってどうする?」

そんなやりとりを昨年頃から聞くようになり、ああ、インボイス。そもそもインボイスって何?と見て見ぬふりをしてきた。

今年の確定申告の時、税理士さんに説明を受けて、ふむふむ。これは今後、自分が、自分の事業がどう在りたいか考えるいい機会だと思えた。

制度の趣旨とは異なるけれど、インボイスとは「これから拡大していくのか、どうなのか」だと捉えている。

個人事業主として細々と生計を立てる道を選ぶなら、申請しなかったと思う。でも写真と文は今後、クリエイティブスタジオとして拡大していく、予定。

それは規模を単純に大きくしたいのではなく、草木がどんどん生い茂っていくように、自然の流れに身を任せながらじわじわ育んでいくイメージ。

私が大切にしている世界観が広く届いていくことで、清々しく生きる人が増えていく。そんな未来を作りたいとちゃんと思っている。

その方向性とインボイス登録事業者になることは、リンクするように思えた。だからほぼ悩まずに、申請した。

今、写真と文としての仕事が、あらたなフェーズへ向かっている。フォトグラファーやライターという立場では携わりきれなかった依頼が増えている。

導かれるまま、誠実に、ていねいに。そういう拡大の仕方も、なかなかいいね。はからずも、面倒でしかなかったインボイスから未来への気づきをもらった。

あ〜〜今週は本当によく働きました!皆さん金曜日、お疲れ様でした◎

全部、発信しなくても、大丈夫。

昔から、お風呂で本を読むのがいい息抜きになっている。

風呂という、家の中でも隔たれた場所で、あたたかい湯に身を任せながら、本の世界に入っていく。いろいろな雑念から切り離されて、目の前だけに没頭できる感じがすごくいいし、時折、面白すぎて1冊まるごと読み終えてしまうことがある。

西加奈子さんの『くもをさがす』が、まさにその1冊だった。

まさか西加奈子さんが乳がんを患っているなんて、思いもよらなかった。西さんの本は何冊も読んでおり、チャーミングな方という印象。私がオードリーの若林さんが好きなこともあり、若林さんと仲の良い西さんに勝手に親近感を抱いていた。

西さんに乳がんが発覚し、カナダで治療するさまを綴るノンフィクション。内容もさることながら、最後の数ページに強烈に惹かれた。長いけれど抜粋して引用します。

最近、インターネットで様々な美しい話を見かける。SNSの発達のおかげだろう。世界中に散らばっていた美しい瞬間に、ワンクリックで立ち会えるようになった。

私はその進化に、心から感謝している。同時に、こうも思うのだ。「こんなに美しい話を、気前よく私たちに分け与えてくれなくていいのに」

それはあなたの、あなただけの美しい瞬間ではないのか。みんなに知ってもらいたい、知ってもらうべきだと思うどこかで、強く「教えたくない」と思っていた。

本当に、本当に、美しい瞬間は、私だけのものにしたい。誰にも教えたくない。私はわたしに起こった美しい瞬間を、私だけのものにして、死にたい。私は、私だけの美しさを孕んで、私は焼かれるのだ。

この文章をお風呂場で読んで「あっ」と思ったのが、息子のことだった。

出産後、息子のことをずっとうまく言語化できなかった。かわいい、大好き。一言で言えばそんな感じなんだけど、一言では語り尽くせない想いがいつも体の中を渦巻いている。

生まれて1年8ヶ月。一生忘れたくない、奇跡のように美しい瞬間は本当にたくさんあった。

でも言葉にしようとすると、大切なものを取りこぼしてしまうような気がして、うまく発信ができない。伝えたいのに伝えきれない。何度も文章を打ち込んではデリートキーを押す。

それは彼自身の人格を大事にしており、まだ判断力が育っていない中、親だけの判断で彼のエピソードを話すことの是非がわからないこともあるけれど、、

西さんの文章を読んで腑に落ちたのだ。

息子が愛しい。その美しい瞬間をすべて共有しなくていい。私と息子のこと、私たち家族のことは、本人がわかっていればいいんだ。

子どものことをどこまで語るのか、語らないのか。顔を載せるのか、名前を公表するのか。家庭によってさまざまで、誰かのお子さんのエピソードをSNS越しに知ると「かわいい…最高」と思うし、線引きは自由だと思う。

基本的には自分がされて嫌なことをしなければ、いいのかなと思う。

でも、心から大切なことまですべて、共有しなくていい。全部、発信しなくても大丈夫。息子との数え切れないほどの美しい瞬間は、心にひっそり刻んでいこう。

1日3回、香りを着替えて

おしゃれに興味が出てきた頃から、香水をふわっと立ち上らせる女性に憧れていた。すれ違いざまにふと気づくあの、感じ。

結婚、出産と次第に香りに心を配る場面も少なくなり、すっかり縁遠い生活を送っていた私が、ここ1年、香りの使い分けにハマっている。面倒くさがりなので手間なく、何より自然由来のもので心地よく。


まずはバームを手作りすることから始めた。「え、手作り?」ってシャッターを下ろさないでほしい(笑)バームって、めっちゃ簡単に手作りできるんです。ミツロウ・シアバター・植物油・精油を湯煎で溶かして完成(こちらを参考に)。慣れれば10分。気分や症状に合わせて、精油をブレンド。

就寝前、首肩をマッサージすると、一日の疲れがすうっと抜けていく。風呂上がりのマッサージとかまるで続かない私が、もう1年以上続けられているのは、シンプルに気持ちよいからだろう。


次は朝、パロサントを焚くようになった。聖木とも呼ばれるそれは、その場を浄化する効果があると言われている。ライターでじゅっと火をつけて、部屋をふわっと一周。スモーキーなのにどこか甘い香り。

朝の部屋は、目を塞ぎたくなる。散らばった積み木、絵本、謎の米粒。一つひとつ拾いあげて、掃除機をかけた後に焚く。正直、浄化とかはよくわからないけど、心が仕事モードに切り替わっていくのは確か。

最後は、ハーブオイルのブレンド。オーガニックに親しい方は超ご存知なナリンのハーブオイル。例にもれず私も33+7を使っていたけれど、たまたま店頭でセンシュアルとカーミングを手首でブレンドしてみた。ほんと、たまたま。

それがうっとりするほどいい香りで。甘いのにキャンディみたいな甘さじゃない。奥深い誇り高き甘さ。なぜか半日くらい香りが持続するので、朝昼とつけて、ふと立ち上る香りを楽しんでいる。


こうやって書くと、昔は他者を意識してつけていた香りが、自分のために変化していったんだと気づく。

35歳。正直、体も肌も曲がり角だ。だからこそ、今の私で楽しめる美しさを、模索するのがとっても楽しい。

【Work】aioi深澤侑悟さん、撮影

デザインスタジオaioiの深澤侑悟さん、撮影しました。

プロフィール写真って、シンプルで、難しくて、とてもやりがいのある撮影です。だって、その人の生きる姿がありありと現れるから。

抱えている想い、ありたい未来など、対話を重ねた結果、クライアントが当初想定していなかった場所やトーンをあえて提案することもあります。

今を残すというより、未来に近づくための今を導き出す感覚。

清澄白河に長く住む彼に提案した場所は、東京都現代美術館。雨上がりの空気感が、これ以上なくぴったりでした。

苦手が得意に変わる働き方/写真と文はクリエイティブスタジオに(2)

一人で働くのが一番。その気持ちが少しずつ変化していったのは、出産が大きなきっかけだったと思う。

たとえば妊娠中。機材を持つのが難しくて、都度、誰かを頼る必要があった。書くのが遅くなってテープ起こしを別のライターさんにお願いしたり、出産直前は夫にアシスタントしてもらったことも。

仕事自体もだいぶ変わった。単発のお仕事が多かったけれど、産後は半年や年単位で時間をかけて、チームで仕事をしていく機会が増えた。

突っ走ってきた今、ふと周りを見渡してみたら大切に育てたいご縁がたくさんあり、一人じゃない形を模索したくなった。


3年前から時々、仕事をお手伝いしてもらっている人がいる。

大塚みつおさん

スタジオアシスタントを経験後、ブツ撮りを得意とするカメラマンに師事し、独立。書籍・カタログ・WEBなど幅広い媒体で活躍している。

おだやかな人柄と豊富なスキルに甘えて、大事な撮影の時は支えてもらっていた。でもふと思ったの。ずっと助けてもらってきたけど、フラットな関係性で仕事できたらもっと楽しいのでは、って。

彼の事務所に遊びに行き、クリエイティブパートナーのことを相談したら、快諾してもらえた。やったー!


特に何かが大きく変わることはないのです。基本はいつもどおり一人で。加えて「私の苦手=彼の得意」なので、仕事の幅がびよーんと伸びる感じ。

・きっちりした物撮り
・精度の高いレタッチ
・ライティングを生かした撮影

こんなことができるように。私が人物を撮影し、物撮りを彼にお任せすることで、人・物トータルでビジュアルを撮り下ろすこともできるし、肌や細かい色合わせなどレタッチの精度もぐんと上がります。ライティングありの撮影もお任せあれ。


これからは大切な人と、互いにプラスになる関係性で仕事をしていく。搾取することなく、みんなうれしい形。一人ひとりと対話し、その人ができることを生かす形。きっと、できる。

特に編集者さん、ライターさん、デザイナーさん、事務仕事が得意な方との出会いを求めています。ピンと来たらいつでもお問い合わせください。


余談1:以前、大塚くんにライティングを相談したら、丁寧な資料を10枚以上作ってくれた。すばらしい知識量と完成度に拍手。

余談2:妊娠中、助手席に同乗してもらうために、自宅まで来てくれたことが何度もある。当たり前のように助けてくれる姿勢、本当に尊敬しています。夫は彼のことを神と呼んでいる。