妊娠と写ルンですと、愛

妊娠中、夫が毎日写真を撮ってくれた。妊娠がわかったその日に写ルンですを買ってきて、1日1枚撮り続けてくれた。

子が生まれた今はかわいくてかわいくてかわいくて…(エンドレスリピート)だけど、妊娠中は苦しいことの方がダントツに多かった。幸せなはずなのに辛い。真っ暗なトンネルを一人でとぼとぼ歩いている感覚。

今ではあまり思い出せないつわりの気持ち悪さ。この世の終わりかと思うほどケンカした夜。おなかが少し大きくなってきて誇らしい私。

そんな日々に淡々と寄り添って写真におさめてくれた。

振り返って思うのは、日常を残すって美しいということ。夫はプロではないし、私も撮られるプロではない。構図はめちゃくちゃ、ほぼすっぴん。だけど写真から見えるリアルな感情とか関係性が、ぜんぶ、ぜんぶ愛しい。

夫婦だから撮れる写真。妊娠という心身ともに揺れ動く時期を残した写真。あの頃の私を残してくれて、本当にありがとう。

余談:子を生んだあとも撮ってほしかったけど「あー、もう撮り続けるのは難しいかな」と戦線離脱されました。


前田敦子の”月月”
雑誌『あわい』出版